みなさんはWebデザインとは何なのかということを考えたことはありますでしょうか。僕はWebデザイナーなので、自分の中でWebデザインとは何なのかという定義を持っています

僕がWebサイトを初めてつくったのは今からおよそ20年前くらいのことで、当時はまだ中学生、その時は「Webデザイン」という意識もなければ、言葉自体も知りませんでした。個人の簡易的なホームページを作ってみるといういわゆるホムペ文化というやつです。

思えば仕事でデザインに関わるまで「デザイン」についてもそれほど考えたことはありませんでした。デザインというのは、知ればそこら中に溢れていることに気がつき、知らなければ意識せずとも馴染んでいるという不思議な概念だと思います。

今回は、現役フリーランスデザイナーの僕が持っているデザイン観をもとに、Webデザインについて語っていきます。デザインに興味を持っている人、Webデザイナーを目指している人など、デザインについて興味がある方のお役に立てれば幸いです。

Webデザインとは?

そもそもデザインとは?

そもそもデザインとは何なのでしょうか。

Webデザイン、グラフィックデザイン、建築デザイン、ファッションデザインなど〇〇デザインというようにジャンルは多岐に渡ります。辞書でデザインという言葉を調べれば、おおよそ課題解決のための計画や設計といった説明がされています。

とはいえ、それだけで説明をしきれるものではないと思います。そもそもデザインとは?というサブタイトルをつけておいて申し訳ないのですが、この答えはデザイナーによって変化するというのが実際のところではないでしょうか。

本質はシンプルなものであるべきだと思いますが、今日のデザインは様々な行為も多分に包括して語られます。

僕もデザインとは何かと問われ、簡易的に説明するのであれば課題解決のための設計とまずは答えます。ですが深掘りしていけば、そもそもその課題は本当に正しい課題なのか、どのような道筋を立てれば課題解決になりそうかなど、デザインのプロセスがはじめから一つひとつ細かく分解されていくのです。

「デザインとは?」という質問は、コンテキストによって答えの中身が変わる難しい問いだと思います。

Webデザインとは?

では、Webデザインとは何なのでしょうか。

僕はWebデザインとは、目的に対して必要な情報や機能を整理し、Web上にビジュアルなど知覚できる形として設計・表現することだと思っています。

会社やブランドのイメージを表現するための装飾、分かりやすく掲載されたユーザーの知りたい情報、ユーザーがお問い合わせをしたくなる仕掛けなど、全てが絡み合ってWebデザインになっています。

また、表現方法も多岐に渡ります。

僕がメインで仕事にしているWebサイトもポピュラーですが、ネット広告用のバナーやチラシ、SNSバナー、Webアプリなど、様々な種類があります。

スマホの普及でより手軽になり急速に成長したネットの世界にも、いまやいたるところにデザインが散りばめられているのです。

Webデザインとグラフィックデザインとの違い

グラフィックデザインは、生活の中で僕たちが触れる機会の多い分野になります。ここではよく比較対象となるWebデザインとグラフィックデザインの違いについて少しみていきます。

まずWebデザインも広義では、グラフィックデザインの中に含まれると考えています。ですが一般的には、アナログに表現されるデザインをグラフィックデザイン、デジタルのWeb上に表現されるデザインをWebデザインと捉えられていると思います。

つまり媒体によって区別されているということです。

グラフィックデザインはポスターや広告、書籍やパッケージなど、最終的に紙などの物理媒体へ出力されるデザインです。ですから、インキで色を表現するグラフィックデザイン、光の発色で色を表現するWebデザインの色の出方の違いはよく話題になります。

また、グラフィックデザインは基本的に完成時のサイズが決まっています。A4のポスターであれば、A4からサイズが変わることはありません。対してWebデザインはパソコンで見るのかスマホで見るのかなど、環境によってサイズが変動します。

さらにWebではユーザーがスクロールしたり、クリックをしたり、動きも加わります。

このように、Webデザインとグラフィックデザインは本質は同じですが、扱う媒体によって必要な知識や設計が変わってきます。どちらもそれぞれの特性があるため、その特性を理解した上でデザインを行うことが重要です。

クライアントワークとしてのWebデザイン

クライアントとの打ち合わせのイメージ

実際に仕事としてWebデザインをするとなると、さらに多くの視点を持つ必要があります

自分の好きなものを自由に作るのではなく、クライアントの目的や課題に対してベストなデザインを作っていく。そこにはクライアントも、その先のユーザーも存在します。

どうすれば仕事にできるか

Webデザインを仕事にするということは、当然ながらWebデザインでお金を稼いでいくということです。

Webデザインを仕事として行っていくには大きく以下の4つの方法があります。

  • Web制作会社で働く
  • インハウスデザイナーとして会社で働く
  • 副業でデザインの仕事をする
  • フリーランスとして働く

Webデザインができるから、Webデザインが事業となる場所があるからだけではWebデザインを仕事にすることはできません。あなたの制作するWebデザインにお金を払ってもいいと思える人がいて初めて、Webデザインが仕事として成立します。

特にフリーランスの場合は、クライアントと出会うところから自分でやっていくわけですからデザイン以外にも多様なスキルが求められます。

クライアントとユーザーの両方を見る

クライアントワークとしてWebデザインを行っていく上で意識すべきなのは、クライアントとユーザーの両方を見るということです。

例えばWebサイトの場合、サイトの制作を依頼するクライアントがいて、その先には実際にサイトを閲覧するユーザーがいます。クライアントには目的や伝えたい情報があり、ユーザーには知りたい情報や何かしらの求めていることがあります。

そのため、クライアントの要望だけを見ていては必ずしも良いデザインが出来上がるとは限りません。逆にユーザーの使いやすさだけを見ては、クライアントの目的や伝えたいことを置き去りにする可能性もあります。

クライアントは何をしたいのか、ユーザーは何を求めているのか。その両方を考えながら、目的を達成できる形に落とし込んでいくのもデザイナーの役割です。

現場を知ってこそ

クライアントから聞いた要望だけをもとにデザインを進めるのではなく、そのクライアントの会社や事業の現場を見る、知るということも重要です。

「答えは現場にある」というのは、僕が掲げている信条の一つです。

可能であればクライアントのもとを訪問し、仕事の様子や職場の雰囲気、どんな業務が行われているのかという「現場」を実際に見て知るということが良いデザインを作るポイントになります。

自分の体を使って現場へ行き、その場で考えることで脳がフレキシブルになるような気がします。その際にした何気ない会話からデザインのヒントが飛び出してくる、なんてことも実際にあったりしますからね。

コーディングは必要か

パソコンでコーディングをする人

Webデザイナーを目指す人にとって、コーディングをどこまで学ぶべきか、学ばなくてもなれるのかというのは気になるところだと思います。

僕はWebデザイナーと名乗っていますが、実際はコーディングも自分で行います。しかし、デザインのみを専門とし、コーディングはエンジニアやコーダーに任せるというWebデザイナーもたくさんいます。

それでも僕は、Webデザイナーであってもコーディングは学ぶ必要があり、業務上行わなくてもできるようになるべきだと考えています。

Webデザインは最終的にブラウザ上で実装されるため、HTMLやCSSをはじめとしたWebの仕組みを理解していることはデザインを制作する上で大きなメリットになります。

HTML・CSSを理解するメリット

実装が難しいデザインにすれば実装の費用が膨らみ、また実装不可能なデザインであれば、そもそもそのデザインは無駄になります。このデザインはコーディングで再現可能かということをデザイン段階で考えられることは、大きなメリットです。

また、Webデザインはパソコンやスマートフォンといった閲覧する環境によってサイズが変わります。HTMLやCSSを理解していれば、この画面幅では要素がどのように並び、どのように並ばせたら良いかをイメージしながらデザインができます。

さらに、実装を担当するエンジニアやコーダーとのコミュニケーションも取りやすくなります。デザインの意図だけでなく、実装する際の注意点などもスムーズに伝えることができれば、制作のスピード向上にも繋がります。

デザインと実装は完全には切り離せない

FigmaやAdobeXDといったデザイン制作ツールで見た時と、実際にブラウザ上に表現された時では、イメージに違いが出てくることもあります。

例えば、デザイン上ではきれいに見えていても、文字の量や画像のサイズによってレイアウトのイメージが変わり、違和感が生じるということがあります。また、ホバーやスクロールといったアニメーションもブラウザ上で確認してこそです。

デザインはデザイナー、コーディングはコーダーとプロセスとして分けることはできても、成果物としては繋がっており、完全に切り離して考えることはできません。

Webデザイナーが実装まで行わない場合でも、その先でどのように見えてどのように動くのかを想像しながらデザインすることで、より良いWebデザイン制作に繋がります。

実際にフリーランスのWebデザイナーとして働いてみて

砂漠を歩く人

自分の経歴を簡単に紹介します

僕はこの記事を書いている2026年8月時点で、フリーのWebデザイナーとして働き始めて4年目になります。独立の前はおよそ9年間、企業に勤めていました。

会社員の頃は主に食品パッケージを取り扱う仕事をしており、一言でいえば食品パッケージディレクターでした。食品パッケージを食品工場に販売するというのが売上を上げるための最終目標なのですが、その食品パッケージが出来上がるまでのプロセスもコントロールしていました。

その中でパッケージに印刷するデザインも自分で手配していく必要があり、デザイナーへ依頼してやり取りもよくしていました。必要であれば自分でデザイナーを探し、新たな繋がりを築いていくということもよく行っていました。

自分でデザインを描いているわけではありませんでしたが、 デザインに関わる業務が多く、デザインの知識や経験も積んでいく必要がありました。そうしてデザインに関わっているうちに、デザインを本職にしたいと思うようになってきました。

そして、思い切って独立をして今に至るというわけです。

デザインに打ちむ

フリーランスのWebデザイナーとして働いてみて、デザインに関わる時間が圧倒的に増えました。デザイン制作会社に勤めたことはありませんのでそこと比較できないのは残念ですが、体感として確実にデザインに打ち込むことができています。

デザイン制作の実作業はパソコンで行うのですが、それだけではありません。クライアントを訪問して打ち合わせをしたり、必要であれば動画や写真撮影も自分でやらせてもらうことだってあります。

なるべくフットワークを軽くして外に行ったり中で作業をしたりと、自分に合った働き方ができているというのも、より仕事に没頭できる環境が構築できているのだと感じています。

業務以外でも、デザインについての本を読んだりデザインの学習をしたり、美術館やデザイン展に行ってみたりと、そういったデザインに関するあらゆることが身に染みています。

仕事と暮らしの境目を混ぜる

フリーランスなので働く時間に制限はありません。

もちろん自分で線引きをしてオンとオフをキッパリ分けることはできるのですが、僕はあえてそうしていません。仕事と暮らしの境目をキッパリ分けないことで仕事と暮らしをつなげて、相乗効果が生まれるようにしました。

例えば、仕事の合間に家事を少し行ったり買い物に出かけることもあります。反対に、暮らしの中でふと思いついたことがあればそのまま仕事に持ち込むということもあります。暮らしながら働く、働きながら暮らすという感じです。

これは仕事だから、これはプライベートだからと区切るのではなく、仕事を良くするために生活を良くする、生活を良くするために仕事を良くするという良い循環をさせています。

全ての行動責任が自分にある

フリーランスは自由に働けるといっても、それは全ての行動責任が自分にあるということです。自由には責任がつきものです。

何時から働くのか、どれくらい仕事をするのか、どのような仕事を引き受けるのか。全て自分で決めることができる一方で、その選択によって起きたことも自分で全て受け止めなければなりません。

会社員の場合、入社さえできれば仕事をして給料をもらうという土壌はすでに出来上がっていますが、フリーランスの場合はその土壌を、自分で土地探しから始めなければならないわけです。好きなことを仕事にできるかどうかは、ここにかかっているといっても過言ではありません。

しかし、自分で考えて行動したことが成功すれば全て自分に返ってきて、そのまま仕事にも暮らしにも良い変化が起こります。

実際にやってみると想像以上に大変ですが、自由に働けることにとても魅力を感じています。